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創業・開業資金の調達金利はどのくらい?|創業融資の金利概説

創業・開業資金の調達金利はどのくらい?|創業融資の金利概説

2021.12.29

新たに事業をはじめるためには、「資金」が必要です。

自己資金で賄えない創業のための資金はどこからか調達してこなければなりません。

銀行など民間の金融機関は新規創業者になかなか融資してくれませんので、創業者のために国や自治体が資金調達の仕組みを提供しています。

それらを総合して「創業融資」と呼びます。

創業融資は補助金などと違い、あくまで融資ですので、返済が必要です。また金利も支払わなければなりません。

本記事では、創業融資について概説し、創業融資のタイプごとに金利がどれくらいになるのかを簡単に説明します。

また、「金利◯%」の場合に具体的にどのくらいの金額を利息として支払うことになるのか、その計算方法や代表的な事例についても解説しています。

詳細な計算式などよりもシミュレータなどを使用した非常に実践的な内容となっていますので、これから創業をお考えの方にとても有益です。

どうか最後までお読みいただき、夢の実現のための実用知識を手に入れて下さい。

創業融資とは

創業融資は、新規企業・独立開業する方や企業・開業後間もない方が、その事業資金を金融機関から借りることができる仕組みです。

地方の景気対策などの要因から、多くの自治体や金融機関などが創業融資のサービスを提供しています。

創業融資は誰のためにあるのか?|創業融資を必要とする人

独立開業・企業立ち上げには、多かれ少なかれ創業のための資金が必要となります。

創業資金を親戚や知人から借りたり、出資してもらったりすることができる場合もありますが、そういう幸運なケースを除けば、自身の財産から拠出できる資金を超える分を金融機関等から借りることになります。

創業融資を利用できる人|対象者の範囲

創業融資サービスを提供している金融機関などでは、対象の創業者を金融機関ごと、提供サービスごとに規定しています。

したがって、「創業◯年までは創業融資を受けられる」という統一ルールはありませんが、おおむね、創業(企業)直前~創業後7年までが対象になるようです。

ただし、創業を予定している・創業後◯年以内であるというだけで、誰でも融資を受けられるわけではありません。

創業融資を受けるには、少なくとも以下の条件をクリアしている必要があります。

  1. 各種融資制度の要件を完全に満たしている(年齢・創業◯年以内など)。
  2. 信用情報に問題がない(金融機関のブラックリストに載っていない)。
  3. ある程度の自己資金を用意している(目安として創業に必要な資金の30%程度)。
  4. 返済が十分に見込まれるような、実現性の高い事業計画がある。

以上でもお分かりのとおり、創業融資を受けるハードルはそれほど高いものではありません。

現実的な事業計画をもって適正な金額を申請すれば、創業融資を受けることができる可能性は誰にでも充分にあるのです。

創業融資の分類

創業融資のサービスには、提供する金融機関や対象となる事業者などによって数え切れないほどの種類があります。

ここでは、おおまかな分類と特徴を紹介していきます。

  • ① 「日本政策金融公庫」の創業融資

    ㈱日本政策金融公庫は、かつての国民政策金融公庫(すなわち「国金」)他いくつかの事業を統合して2008年10月に株式会社として発足しました。現在でも日本政策金融公庫のことを「国金」と呼ぶこともあります。

    株式会社といっても、国策会社(特殊会社)であり、実質的には公的機関です。

    低金利の創業融資サービスを(基本的に)無担保で提供している点が最大の強みです。

    ② 「制度融資」による創業支援

    制度融資とは、当道府県や市区町村などの自治体信用保証協会(※)金融機関が三位一体となって提供する中小企業への融資システムです。

    金利が非常に低く、金利の他にかかる信用保証料を足しても、日本政策金融公庫の利息額より低いこともあります。

    その反面、審査に時間がかかる・代表者が連帯保証人になる必要があるなどのデメリットがあります。

    (※)信用保証協会は、中小企業の資金調達をサポートするために設立されている公的機関です。
    万が一、返済不能となった借入金を利用者に代わって金融機関に弁済します。この保証を用意することによって、借り入れを行いやすくするのが主な機能です。
    詳細は信用保証協の公式HPをご参照下さい。

    ③ その他(ビジネスローン等)

    銀行などから通常の事業用資金を借りることは、創業時点ではまず不可能です。

    銀行など民間の金融機関はそれなりの実績や信用がないと事業資金を貸してくれません。

    しかし近年、ビジネスローンというサービスを提供している銀行や他金融期間、消費者金融会社などが増えています。

    多くの場合、ビジネスローンは創業資金としても使える(創業目的の借り入れが禁止されていない)のですが、金利が非常に高いため、返済期間が1年超ともなれば大変な利息負担となります。

最も標準的な創業資金の調達先は日本政策金融公庫!

上で紹介した3つの資金調達先をまとめて、下表のように整理してみました。

難易度(審査の通りやすさ) 融資まで(審査)の期間 金利の高さ
日本政策金融公庫 普通 普通 普通
制度融資 少し難しい 少し長い 安い
ビジネスローン 簡単 短い 高い

一見、どれが優れてるのか分からないように見えますが、で示しているビジネスローンの利率の高さはデメリットが大きく、1年を超える借入期間の場合はおすすめしません。

結局、総合的に優れている日本政策金融公庫での資金調達が一番の候補となります。

時間的なゆとりがあれば、事業を行う場所の自治体などが制度融資を施行していないかを確認するとよいでしょう。

創業融資の金利

創業融資は借り入れですから、定められた期間に返済することと同時に、金利の支払いが必要です。

創業融資の返済期間や金利はその用途や借入先によって異なります。

返済期間は通常1年~20年の間。融資を受けるお金の用途などによって異なります。

金利は、借入先やその金融機関等のサービスプランによって様々です。

ここでは、「金利とは何か」について実用的な観点から説明していきます。

金利とは

金利は、借り入れに付随する利息のことです。

「金利」「利息」「利子」などと色んな呼び方がありますが、金銭の融資を受ける場合にはこれらは同じ意味と考えて差し支えありません。

金利は通常「◯%」というふうに利率(割合・パーセンテージ)で表示されます。割合で設定されているので、当然このような表示になるのですが、実際の計画・検討にあたっては利率だけでなく、「具体的な金額」を把握することが大切です。

利息額の計算方法|2種類の返済方法がある

仮に1,000万円に対する金利が1%のとき、実際に支払う利息額はいくらになるでしょうか?

金利1%というのは年利です。1年間で1%の利息額となるということです。そして1%はその時点での元金残高に対して掛けられます。

具体的には、毎月返済の場合、借りた当初1回目の返済では元金残高1,000万円ですから、利息額は

1,000万 × 1% ÷ 12ヶ月 = 8,333円

となります。
返済が進み、元金残高が700万円となれば、その月の利息は

700万 × 1% ÷ 12ヶ月 = 5,833円

です。

このように、返済が進むにつれて利息の金額は減っていきます。

毎月一定額の元金を返済し、プラス利息を支払う返済方法を元金均等返済方式といいますが、この方法によると、毎月の支払総額は利息の金額が減少するのに従って少しずつ減っていきます。

対して、毎月の支払額(元本分+利息額の合計)が一定となるような返済方法もあります。これを元利均等返済方式といいます。

元金均等・元利均等とも一長一短でどちらの支払い方法がよいということは簡単には言えません。
財政状況などに合わせて、返済方法を選びましょう。

なお、それぞれの返済方法で利息額の計算方法が異なりますが、ここでは詳しく説明しません。

なぜなら、利息金額については簡単に概算できるシミュレーションサービスがインターネット上で無料で利用でき、そちらを利用した方が速く・確実に計算できるからです。

利息計算に便利なシミュレーターを紹介!

利息の金額計算はそう複雑ではないものの、手計算でやるのは面倒です。

各種金融機関などのHP上には利息金額を計算してくれるシミュレーターがあります。

特に使いやすく信頼のおける便利な利息計算シミュレーターを3つ紹介します。

  • ① 日本政策金融公庫「事業資金用 返済シミュレーション」

    日本政策金融公庫が提供しているシミュレータ。シンプルでわかりやすいデザインが特徴です。
    金利10%以上の計算には対応していません。これ以上の金利で計算したい場合は下で紹介する②などを利用しましょう

    ② カシオ「ローン返済(毎月払い)」

    計算機メーカーのサイト内にあるシミュレータです。金利10%以上にも対応。
    日本政策金融公庫のシミュレータとの違いとして、「借入年月」という項目が増えていますが、総額の利息支払額計算においては影響が少なく、最初の値のまま計算しても大丈夫です。

  • ③ 名古屋市信用保証協会「信用保証料シミュレーション」

    制度融資の場合、利息に加えて信用保証料がかかります。これは信用保証料を計算するための専用シミュレータとなります。
    ここでは名古屋市のものを紹介していますが、他の自治体信用保証協会にもシミュレータがあります(計算結果はあまり変わりません)。

    「保証料率」を設定するようになっています。保証料率については各保証協会のHPで確認できますが、何も分からない場合はとりあえず1.0~1.5%くらいで計算しておきましょう。

なお、シミュレータによる計算はあくまで目安としてお考え下さい。実際の計算とは異なる場合があります。

創業融資の金利

それでは、上で紹介したシミュレータを使用して、創業融資に掛かる利息の金額を計算してみましょう。

仮に借入金額を1,000万円として、日本政策金融公庫、制度融資、ビジネスローンそれぞれの利息金額を算出します(「元金均等返済方式」での返済方法による計算)。

利息金額は金利と返済期間によって変わるので、それぞれについて5年、10年、20年各期間での利息金額を別個に計算することとしましょう。

(※)金利については、だいたいの見込み値を採用しています。金利は借入金額や返済期間などによって上下しますので、「公庫から借りたら2.6%」というような誤解をしないようお願いします。
(※)また、制度融資の金利には信用保証料を含めています(金利1.1% + 信用保証料1.1% = 2.2%)。利息計算については、金利1.1%分と信用保証料1.1%分をそれぞれ計算して合計した金額を掲載しています。

種類 金利(目安) 1,000万円に対する利息金額(概算)
5年返済 10年返済 20年返済
日本政策金融公庫 2.6% 660,833円 1,310,834円 2,610,833円
制度融資 2.2% 582,084円 1,159,585円 2,314,585円
ビジネスローン 12.0% 3,049,984円 6,049,967円 12,050,075円

まず、ビジネスローンは5年返済でも借入金額の30%を超える利息支払いとなり、大変な負担となることがわかります。金利が高い融資は、ごく短期間の返済に限るべきでしょう。
実際、20年返済などは通常のビジネスローンではほとんど不可能(契約できない)です。

次に、この表の場合で日本政策金融公庫と制度融資を比べると、信用保証料を加味してもなお、制度融資の利息が少ない金額となっています。

その分、制度融資の利用は手続きが煩雑で、借入できるまでの期間が長く、審査がよい厳しくなります。

どの種類を選ぶか?|金利だけではない

創業にあたり、どの種類の資金調達方法を選ぶのかは大変むずかしい問題です。

必要とする資金の規模や手元資金の額、いつまでに必要かなど、金利以外にも考えるべき要素がたくさんあるからです。

最適な資金調達方法を探すために、まずは自身の環境(業種・地域など)で、どのような創業融資が利用できるのかを詳しく知ることが肝要です。

まとめ:創業融資には税理士など専門家のアドバイスを受けるのがオススメです!

創業融資の方法は数多くあります。日本政策金融公庫や自治体の制度融資にもそれぞれ多種多様のプランが設けられており、色んな事業者のニーズに対応しています。

これらすべてを事業者自身が正確に把握するのは困難ですので、専門家のアドバイスが非常に有効です。

税理士は地域の事情に詳しく、創業後も税務・会計などでのサポートを受けられるため最も適した相談相手となります。

新規創業のための資金調達をご検討の方は、事業を行う地域の事情に詳しい税理士などの専門家のサポートを受けることを強くおすすめします。

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